第118章

翌日、高橋遥は稲垣グループへ足を運んだ。

彼女は品物を古屋さんに手渡し、伝言を頼んだ。古屋さんはそれを受け取りながら少し躊躇って尋ねた。「よかったら、稲垣社長と直接お話しになりませんか?この数日間、社長があなたのことをずっと気にかけている」

高橋遥は淡く微笑みながら首を振った。「もう離婚したんですから、必要ないです」

彼女が立ち去った後、古屋さんはその背中を見つめながら考えた。どうやらこの恋愛は、高橋遥が本当に完全に手放したようだ。

古屋さんは最上階に戻り、品物を稲垣栄作に渡した。

稲垣栄作は箱を優しく撫でながら、静かに尋ねた。「彼女から何か言伝はなかったか?」

古屋さんは首を振...

ログインして続きを読む